酵素反応速度 - Michaelis - Menten型を用いた非線型回帰機能を紹介します。[「フィッティングガイド」pg79-83より]
直線は傾きとY切片を与えることによって規定されます。線形回帰(linear regression)の目的とするところは、傾きとY切片の値を調整し、直線がデータに最も良くフィットするようにすることです。非線形回帰(nonlinear regression)は線形回帰に比べより一般的であり、データを任意の数式(Yの値を規定するXの関数)とパラメータにフィットさせます。具体的には曲線がデータに最もフィットするようなパラメータ値を見つけ出します。
線形回帰、非線形回帰は共に、直線、あるいは曲線が最もデータにフィットするようなパラメータ値(線形回帰の場合は傾きとY切片)を見つけ出します。より正確に言うと、そのゴールはデータ点から直線/曲線への垂直距離(Y軸方向に沿った距離)の2乗和を最小化することです。
線形回帰は代数演算(多くの統計書に記述されています)を駆使してこのゴールを達成します。データを投入すれば答が返ってきます。あいまいさは全くありません。その気になれば手計算でも行えます。
非線形回帰の場合には微積分や行列演算を駆使した反復演算手法が用いられます。その際、パラメータごとに初期推定値を指定する必要があります。
Welcomeダイアログ上で「XY」を選択、サンプルデータ「Enzyme kinetics -- Michaelis-Menten」を選択、さらに「Each Replicate」(「Mean and Error」ではなく)のグラフ化を選択します。

サンプルデータは一部、操作法を説明したフローティングノートによって隠されているかも知れません。適宜移動するか縮小してください。
反復データは3重になっています。一部データが欠落していますが問題はありません。

Prismはグラフに対しデータテーブルと同じ名称を自動的に付加します。「Graph」セクション中の「Michaelis-Menten data」を選択してください。
Prismが自動的に作成するグラフは比較的完成度の高いものです。しかし記号や色、軸ラベル、凡例の位置、等を適宜カスタマイズできます。

Analyzeをクリック、「XY」分析の一覧中から「Nonlinear regression(非線形回帰)」を選択します。
「Nonlinear regression」ダイアログの「Fit(フィット)」タブ上で「Enzyme Kinetics(酵素反応速度)」数式パネルをオープン、「Michaelis-Menten」を選択します。「OK」をクリックすると曲線が追加されたグラフが生成されます。


非線形回帰のゴールはパラメータに対するbest-fit値を見出すことです。これらはテーブルの上部にレポートされています。それらbest-fit値がどれだけ正確かに関する情報がなければ安心して利用できません。それに関する情報は標準誤差と信頼区間としてレポートされています。

反復データテストは反復データ間のバラツキと曲線周囲でのデータ点のバラツキとを比べることによってフィットの適合度を評価します。これはデフォルトでは計算されないため、ステップ7での結果中には表示されていません。
フィットをはじめからやり直す必要はありません。結果テーブル左上隅にあるボタンをクリックすると「Nonlinear regression (非線形回帰)」ダイアログに戻ることができます。

「Diagnostics(診断)」タブをクリック、replicates testにチェックを入れます。このセッティングを今後フィットを行う際のデフォルトとするオプションも用意されている点にご注意ください。

P値は小さな値となっています(0.013)。すなわちデータの曲線からのバラツキが反復データ間のバラツキから期待されるものに比べて大きいということです。このことは別のモデルによるフィットを検討した方が良いことを示唆するものです。次の例はまさにこれを行うものです。
