「データ分析」[Analyze Data]ダイアログ・アップデート:
検索可能な分析と最近使用された分析
Prismは、データの処理や調査に使用可能なたくさんの分析を提供します。Prism 9.1.0では「分析」[Analyze] メニューが導入され、Prismの分析ダイアログにアクセスするための新しい手法が提供されました。このメニューは、組み込みのシステム機能を使用して、macOSで完全に検索可能でした(ヘルプメニューにある検索バーを使用)。Prism 9.2.0では、macOSとWindowsで使用可能なPrismの分析ライブラリを捜す新しい方法を導入しました。Prismツールバーの「分析」[Analyze]ボタンで開かれる「データ分析」[Analyze Data]ダイアログには、目的の分析が簡単に見つけられるように検索バーが設けられます。

また、最も頻繁に使用する分析を簡単に見つけ易くするために、「データ分析」[Analyze Data]ダイアログの構成にいくつかの変更を行いました。”「最近使用した分析」[Recently used]”フォルダは、迅速かつ容易なアクセスのために分析リストの上部に移動されました。
新しいグラフ軸タイトル・コントロール
完璧に見えるグラフを作成することが重要なことを、GraphPad社は理解しています。ほとんどの場合、ユーザーは適切な種類のグラフ、適切な色、適切な線の太さなどを取得することに重点を置きます。しかし、ユーザーが忘れがちなのが、Y軸タイトルの方向と位置です。”標準的”グラフには、90°回転(垂直方向)され、Y軸の中心にY軸のタイトルが表示されます。この方法の簡単な例を以下に示します:

グラフで示されるように、この可視化は各々の州の人口を表しています。Y軸タイトルは”標準”の向きと位置で表示されていて、 -Y軸のタイトルは比較的短いため- このグラフはかなり見栄えがします。しかし、Y軸のタイトルが少し長い次のグラフを見てください:

このケースで、Y軸タイトルの”標準”の位置は、同じくらい良いようには見えません。これに対処する1つのオプションは、軸タイトルのフォントサイズを変更するか、タイトルを複数行のテキストに分割することが考えられますが、別の解決策は、Y軸タイトルの回転と位置を変更することかもしれません。軸の左側に軸タイトルを含める代わりに、Y軸タイトルの上に配置し、- 新しい位置を考慮して- テキストが水平になるように回転して変更することもできます。下のグラフは、これがどのように見えるかを示しています(グラフのタイトルもY軸のタイトルと揃えられており、X軸のラベルが軸の上側に移動されていることに注意してください):

Prism 9.2.0では、Y軸タイトルの回転と位置の両方を指定するための新しいコントロールセットが導入されています(必要に応じて、左右のY軸別々にコントロールされます)。デフォルトで、Y軸タイトルテキストの回転は、自動的に割り当てられます(縦/水平、位置により判断)が、回転の手動による指定を選択することもできます。これらのコントロールは「軸のフォーマット」[Format Axes] ダイアログの「タイトルとフォント」[Titles & Fonts]タブに追加され、Y軸を次のように指定できます:
回転/Rotation:

位置/Location:


カラースキームによる塗りつぶし
棒グラフ、箱ひげ図、バイオリンプロットなど、たくさんの様々な種類の視覚化を使用して、データのセット(グループ)を要約できます。これらの視覚化は、元となるデータの1つ以上の統計量の要約を表す簡単な方法を提供します。これらの統計量の要約の例は、標本標準偏差、標本平均とその標準誤差、または、信頼区間、中央値とデータの四分位値、その他、が含まれます。しかしながら、多くの場合、データの量が妥当である場合は、セットや群に含まれるデータポイントの個々のシンボルも含めることは良い考えです。Prismは、以下を含む要約の視覚化による個々のデータポイントのシンボル重ね書きのような多くのオプションを提供します:

以前のバージョンのPrismでは、あらかじめ定義されたカラースキームをこれらの可視化のいずれかに適用すると、何らかの予想外の結果が生じました。具体的には、これらの可視化はこれらのカラースキームの”塗りつぶしの色/Fill Color”による割当てを無視し、要約の可視化対象(バー、ボックス、バイオリン)の内部を完全に透過にします。これは、以前のバージョンのPrismでユニバーサル/ColorblindSafeカラースキームを適用した後のこれらのグラフの外観です:
Prism 9.2.0以前のバージョンでグラフにカラースキームを適用

これは、塗りつぶしの色がシンボルに適用されている色と同じである場合、シンボルが不明瞭になるためです。これは、そもそものすべてのデータを表示するという目的を無効にします。しかし、多くの組み込みのカラースキーム(と、ユーザー定義のカラースキーム)は定義された塗りつぶしカラーを含み、これらの塗りつぶしの色が認識され使用されることが必要です。それで、Prism 9.2.0では、塗りつぶしの色がグラフに追加される方法を改善しました。今では、Prismは定義された塗りつぶしの色を選択されたカラースキームで使用しますが、シンボル(または四分位線など)が明瞭に表示されるように、50%の透過度で適用します。その結果、はるかにカラフルなグラフが作成され、データに関する最も有用な情報がすべて伝達されます:
Prism 9.2.0でのカラースキームが適用されたグラフ

グラフポートフォリオ/Graph Portfolioのアップデート
Prism 9.2.0では、グラフポートフォリオにある多くのサンプルグラフの視覚的な更新が行われます。これらのグラフの多くは、新しいY軸のタイトル位置、新しい配色(半透過色のカラースキームのいくつかを含む)で更新され、全般的に視覚的改善が行われています。ウェルカム/Welcome ダイアログからグラフポートフォリオ/Graph Portfolio をチェックして、Prismが生成できるさまざまな形式のグラフの多くの例を調べてください。