Prismロゴ
Prism機能紹介
1-way ANOVA (一元配置分散分析)
無料トライアル版を試す

1-way ANOVA (一元配置分散分析)

ここでは、1-way ANOVAを実行した際のパラメータダイアログについて紹介します。使用している画像は GraphPad Prism 日本語版のものです。英語版の画像を使用したページはこちらから閲覧頂けます。

1-way ANOVAのデータ入力とパラメータ(分析オプション)の設定

1. データテーブルの作成とデータの入力

Welcomeダイアログの 新しいテーブルとグラフ より カラムプロット を選択します。ここではサンプルデータを使用しますので、データテーブル: から チュートリアルのサンプルデータから始める を選び、サンプルデータセットから選択する:1-way ANOVAリストから「通常の1-way ANOVA 」を選択します。

サンプルデータにはすでにデータが用意されています。

データを入力する場合には、2種類の形式が可能です。生データまたはサマリーデータ(平均値、SDまたはSEM、およびN)を入力することができます。各々の群のデータを別々の列に入力します。2つの群の大きさが同じである必要はありません(空のセルがあっても、問題ありません)。データの対応がない場合、行タイトルを入力する必要は特にありません。

2. ANOVAの実行

ツールバーにある 分析ボタン をクリックし、データ分析ダイアログを表示します。カラム分析 の一覧の中から「 1-way ANOVA (及び、ノンパラメトリック、または混合モデル )」 を選択します。

3-1. パラメータダイアログ : 1-Way ANOVA | 実験意図タブ

実験意図タブの上で実施する検定を選択します。Prism はこれらの情報から検定手法を自動設定します。

  • 実験意図
    データの列がマッチしているとき、繰り返し測定検定を選びます。完全にランダム化されたデザインの場合、 マッチングなし を選択します。
  • ガウス分布を仮定するか?
  • 等分散性を仮定するか?
    Prism 8からは、母分散に等しいかどうかの仮定を選択します。仮定を行わないと選択すると、Prismは2つの代替形式のANOVAを実行し、両方の結果を報告します。 WelchのANOVAとBrown-Forsythe ANOVAは、群間での分散の不均一性について調整されるように、F 比と自由度の計算を調整します。ANOVAテーブルでP値は、同じ方法で解釈することができます。
  • 球面性(差の当分数)を仮定するか?
    データの各々の行が一組のマッチした観測を表すとき、球面性の仮定を疑う理由はありません。これは、乱塊法実験計画と呼ばれています。ハッキリしない場合、球面性の仮定は推奨できません。 球面性を仮定しないを選択すると、Prismは以下を実行します:
    • 繰り返し測定ANOVAの P値の計算で、Geisser-Greenhouse補正を行います。結果のP値は、補正なしの場合よりもより高くなります。
    • ε (イプシロン) を出力することにより、球面性の違反を数値化します。
    • 別の多重比較検定を行います。

3-2. パラメータダイアログ : 1-Way ANOVA | 繰り返し測定タブ

実験意図タブの実験意図で「各行は、マッチしているデータ、又は繰り返し測定データです」を選択した場合、繰り返し測定タブの上で設定を行います。

どの手法を使用して分析するか?
5繰り返し設定では以下の3つの選択が可能です :

繰返し測定ANOVAを使用(GLMに基づく)
常に繰返し測定ANOVAを使用します。欠測値がある場合には、結果は出力されません。これは、Prism 7以前のバージョンに対応するためです。Prismは欠測値を持つ参加者の全てのデータを削除することは出来ませんが、これらの値を全て除外しANOVAを再実行することは可能です。
混合 - 効果モデル
常に複合効果モデルをフィットします。これにより、欠測値有無に関係なくすべての分析が矛盾なく行われます。欠測値がないとき、重要な結果は繰返し測定ANOVAと同じですが、結果は繰返し測定ANOVAでは使用されない形式で公開されます。
データに依存
繰返し測定ANOVAが不可能でない場合、欠測値があるときだけ、複合効果モデルのフィットを出力します。欠測値がない場合は、よく知られている反復測定のANOVA結果を報告します。

任意のランダム要因がゼロあるいは負である場合の処置
繰返し測定や複合モデル分析のポイントは、同じ対象で複数の反応測定値がある、または個々がマッチしており、複数の反応の間で同じ対象から何らかの相関を考慮しなければならないことです。複合モデル分析は、対象間で分散を推定することにより複数の反応の間で同じ対象から何らかの相関を考慮します。単一複合モデルで、この相関がゼロ或いはマイナスになる可能性はあります(変動がマイナスになることはあり得ませんが、複合効果モデルでは起こり得ます)。相関がゼロ或いはマイナスになった時にPrismでは2つの選択肢があります:

通常通り分析
欠測値がない場合、これは繰返し測定ANOVAに一致します。
対象要因をモデルから削除し、再フィット
もう1つ自由度があるので検出力があります。このアプローチは優れていますが、複合モデルの結果が繰返し測定ANOVAの結果に一致しない可能性があります。

3-3. パラメータダイアログ : 1-Way ANOVA | 多重比較タブ

多重比較タブ上で、多重比較検定の実施の有無とその方法の設定を行います。

比較方法

多重比較を行わない
多重比較はオプションです。
各列の平均値をその他の列の平均値で比較
これはおそらく最も一般的に使用されている比較です。他の比較よりも多くの比較を行うため、差の検出力が小さくなります。オプションタブで的確な検定を選択しますが、Tukeyの検定が最もよく使われます。
各列の平均をコントロール列で比較
各群をその他の群とは比較せずにコントロール群と比較するので、比較の数が減り差の検出力が増加します。オプションタブで的確な検定を選択しますが、Dunnettの検定が最もよく使われます。
列のあらかじめ選択されたペアの平均を比較
列平均のあらかじめ選択されたペアを比較するので、比較の数が減り検出力が増えます。しかし、平均のペアを「実験意図と科学目的の一部」として選んでいないでしょうか。 まず第一にデータを見て、その後にどの平均のペアを比較するのか決めるのであれば、すべての平均値が比較対象となります。
線形傾向の検定
傾向性の検定は列を左から右に見るとき、列平均の増加(或いは減少)はシステマティックかどうかを検定します。他の多重比較検定はデータセットの順序にはまったく影響されませんが、この検定では、列は順序正しく等間隔な群である必要があります。

検定手法の選択

オプションタブの選択を使用して検定手法を選択し、今後のANOVAのデフォルトに設定します。

 

3-4. パラメータダイアログ : 1-Way ANOVA | オプションタブ

多重比較タブで多重比較検定の実施を選択した場合、オプションタブの上で多重比較検定手法の選択や、多重性調整済みP値 の計算の有無等のオプション出力の設定を行います。

多重比較検定

多重比較の修正:統計的な仮説検証を使用(推奨)
利用可能な選択肢は、ANOVAダイアログの最初のタブで等分散性(SDは等しい)を仮定するかどうかによって異なります。等分散性(SDは等しい)を仮定する時、選択は以下の通りです:
  • Tukey 検定 (推奨)
  • Bonferroni 検定
  • Sidak 検定
  • Holm-Sidak 検定
    Tukeyの手法よりも強力で、Tukeyの手法では見つけることが出来なかった有意差が見つかることがあります。この検定は信頼区間の計算ができないため、Tukey検定の方が好まれます。
  • Newman-Keuls 検定
    旧バージョンのPrismとの互換性のためにのみ提供されています。問題は、この検定は指定された水準でfamilywiseエラー率を保持せず、場合によっては、第 1 種の過誤の確率が指定された α の水準より大きくなり得るという問題があるので使用は避けてください。
等分散性(SDは等しい)を仮定しないとき、可能な選択は以下の通りです:
  • Games-Howell 検定 (標本サイズが大きいとき推奨)
  • Dunnett T3 検定 (群当りの標本サイズが50未満であるとき推奨)
  • Tamhane T2 検定
多重比較の修正:False Discovery rate (FDR)を制御
FDR をコントロールするために3つの手法 が提供されます。 FDRアプローチがANOVAのフォローアップ検定として使われることはあまりありませんが、使用されない妥当な理由はありません。
多重比較補正なし
このアプローチを選択する場合、Prismでは Fisherの最少有意差(LSD)検定 が実行されます。

多重比較オプション

比較の方向を変更
出力される平均間の差の符号を全て変えます。
各比較について多重性調整済みP値を出力
Bonferroni、TukeyまたはDunnett多重比較検定を選択するとき、Prismは多重性調整済みP値も出力することができます。このオプションにチェックを入れた場合、Prismは、個々の比較についての調整済みP値を出力します(出力した調整済みP値は両側検定で算出されます)。
信頼と有意水準
慣例的に信頼区間は95%の信頼で計算され、統計的有意性はα=0.05で定義されます。Prismでは他の値を選択することも可能です。

グラフオプション

出力の追加
各データセットについての記述統計を出力します。また、同様に通常のP値に加えて 情報理論アプローチ(AICc) を使って全体のANOVA比較を出力することも可能です。
出力
出力されるP値の形式と表示有効桁数を選択します。

3-5. パラメータダイアログ : 1-Way ANOVA | 残差タブ

残差タブの上で残差プロット設定を行います。 Prismは4種類の残差プロットを作成することが可能です。

作成するグラフの選択

Prismは4種類の残差プロットを作成できます。

残差プロット
X軸は、期待値(または、フィットした値)、データの繰り返し値の平均です。Y軸は残差です。これにより、残りの部分よりもはるかに大きいまたは小さい残差を見つけることができます。
等分散性プロット
X軸は、期待値(または、フィットした値)、データの繰り返し値の平均です。Y軸は残差の絶対値です。これにより、より大きな値がより大きい残差に関連付けられているかどうかをチェックすることができます。
QQプロット
X軸は実際の残差です。Y軸は予測残差で、全ての残差によるパーセンタイル値とガウス分布からのサンプル収集の仮定から計算されます。ANOVAは残差のガウス分布を仮定しており、このグラフでその仮説をチェックできます。
ヒートマッププロット
サブカラムなしの形式のデータでヒートマップは作成されます。入力された各々の数値はヒートマップ上で1つの長方形にとなります。軸の逆順や転置が選択されない限り、ヒートマップ上の色の配置はデータテーブルでの数値に対応します。

残差についての診断

残差はクラスター化しているか、不等分散か?
残差はクラスター化しているか、または不等分散か、ANOVAは個々のサンプルが母集団から同じ標準偏差でランダムに取り出されたと仮定します。この仮説をBrowne-Forsythe検定とBarlett検定で検定することができます。
残差の正規性を検定するか?
残差について4つの正規性検定を実行します。全ての群からの残差はプールされ、それから正規性検定の1つに入力されます。

4. 結果の表示

パラメータダイアログでの設定に従って結果シートやグラフが作成されます。多重比較検定、各データセットについての記述統計をオプションとして選択すると、多重比較検定、多重比較検定のサブシートが出力されます。

パラメータの設定を変更する場合は、メニューバーの分析ボタンの右横にある ボタンをクリックします。

Statistics Guide: How to: Paired t test